円の面積の公式を最初に習う際の説明は、円を中心からパイのように小さな三角形に切り分けて、それを互い違いに組み合わせて平行四辺形を作る、というものです。ここでは少し違ったやり方を見てみましょう。
まず、切り分けた三角形をズラっと一列に並べます。
そのうえで、高さが同じであれば、個々の三角形の面積は同じですから、全部の三角形の頂点を一点に集めて大きなひとつの三角形を作ります。
分割した三角形の数を引き上げていけば、この集約した三角形の面積は元の円の面積に近づいていきます。そして、それは、円周と同じ長さを底辺とし、半径を高さとする三角形の面積として計算できます。
このように仕立て直すことで、円の面積公式の中に隠れていた、三角形との関係が表に出てくることになります。また、3次元の立体で、球と円錐は「1/3」、2次元の円と三角形は「1/2」と、トーンも揃います。
もともと円周率πの定義とは「直径と円周の比」でしたので、円の面積の公式で、直径の半分の半径だけを使って組み立てたときに、円周との関係が隠れてしまっていたわけです。
「円の面積は、円周を底辺とし、半径を高さとする三角形と等しい」というこの性質は、最初に古代ギリシャのアルキメデスが発見し、積分の先駆者の一人で、ニュートンの研究の基礎を作ったケプラーも再び著作の中で取り上げています。
後ほど出てきますが、円周と円の面積、球の表面積と体積は、積分で直接つながっていますので、このようにあらかじめ整頓しておくと、いっそう見通しがよくなります。
では、これを足がかりに、実際に、立体の体積を積分で計算するやり方に進んでいきましょう。