前回と同じように、不定積分した原始関数と、定積分を列記すると上のようになります。積分すると今度は3次関数になり、前に「1/3」という係数が出てくるのが特徴です。
シグマの公式についても、前回のものに併せ、二次関数を扱うために以下の一つを追加します。
二乗された数ごとの和になっていますが、これが必要になるのは、対象が二次関数なので、各々の短冊の縦長に二乗された項が入ってくるからです。
この和が上のような結果になるのはとても不思議な気がしますが、この導出は、それ自体がかなりの大技で、また、積分の機能とも深く関わってきますので、後でじっくり取り組むことにし、ここではとりあえず与えられた結果だけを使うことにします。
では行きましょう。はじめは前回同様、区分求積の基本式の中に入っている部品の部分を作りこんでおきます。
公式を使ってシグマを外し、極限をとると、同じように、元々の数列の和の中にあった「1/3」の係数をうまく残せます。
これを全体に組み込みますが、今度は二次式で、展開すると前回の1次の等差の和の項も現れますので、双方を投入してそれぞれ和の部分を置き換えます。
これで無事、最後まで到達しました。「1/3」の係数の起源が、数列の和にあることも一次関数のときと同じです。
前回も触れましたが、区分求積の計算を取り回し、それを通じて積分の機能を内側から理解するには、以上のように数列の和・級数の計算に習熟することがどうしても必要です。この点、前回取り上げたときは、シグマの扱いにまず慣れるだけで手一杯で、とてもそこまで気がまわりませんでしたが、これでさらに先に進もうという「インセンティブ(動機づけ)」ができましたので、今回先行して使ったものも含めて、後ほどもっと整理した形で、腰を据えて取り組みたいと思います。
さて、いちばん簡単な例題だけですが(それでもとても難しいという)要領はつかめましたので、区分求積の実例はこれくらいで切り上げて、次回からいよいよ、この積分の節のメインディッシュである体積の計算に入っていきます。
体積の計算で、はじめて習ったときにみんな不思議に思うのは、公式の中によく入っている、あの「1/3」という係数は何なのか、ということです。公式だからだよ、積分したからだよ、という表面的な説明を超えて、それをより深く探るうえで、ここまで四苦八苦してきた区分求積の苦労も、きっと役立つはずです。