【積分】積分記号の意味

インテグラル記号を用いた積分の独特の記法は、前回紹介した区分求積法に起源があります。

この節を最初から読む
この節の目次にもどる
区分求積法
前回組んだ数式は上記でした。「関数の等間隔の計算値に、刻み目の幅を掛けて、短冊形の長方形の面積を足し上げる」計算を、数列の和・級数を表すシグマ記法を使ってまとめてあります。

そして、関数の累積変化量を算出する、この計算の精度を上げていくには、切れ目の数(n)をより多く、逆に短冊の横幅(Δx)をより小さくしていけばよいわけです。ところで、この
「どんどん〜する」の計算動作は、極限の「lim」記号で表せますので、この刻み目をどこまでも多く、どこまでも細かくしていった先が、比較した区間における原始関数 F(x) に重なるのであれば、それは、

区分求積法とインテグラルの表記
のように表現できます(nとΔは連動しているので、Δを0に向けて小さくすると書いても同じです)。短冊を寄せ集めた上で極限をとる、この「lim」と「Σ」の合わせ技は、区分求積では共通して現れる考え方です。

そこで、積分のもう一人の創始者であるライプニッツは、この共通する「lim」と「Σ」の掛け合わせに対して、新しい記号を新設してひとまとめに括り、

区分求積法とインテグラルの表記
と、書くようにしたのです。

この表記で、おしりの「dx」は、関数の変化量を表す「Δ」に極限の動作を加えたものという意味でしたから、この中に、刻み目を無限に細かくしていくという、上の区分求積の考え方が入っています。また、上下に細長く引っ張った新しい滑らかな「S」は、ただの「Σ」とは一味違うよ、ということで、この限りなく細い短冊を足し合わせた、滑らかな和を意味しています。

区分求積法とインテグラルの表記
この積分の表記で、はじめに見たときは、最後の「dx」は、なんだかムダなようで、先頭のインテグラル記号だけあれば意味が通るじゃないか、とみんな思うわけですが、「dx」はこのように、区分求積の数列の和で、短冊の横幅を表す「Δx」の名残であり、計算動作としても立派に意味があるわけです。ですので、省略せずに、必ずつけるようにします。

また、ここまで見てきたように、区間の内側を分割していく区分求積と対応するのは、自身も区間を持つ定積分になります。時系列的には、ここまで学んできたこととはちょうど逆に、区分求積からまず定積分が作られ、そこから一般化された「不定積分=原始関数」が生まれるのですが、それがどう引き出されるのかは、追って確認します。



積分の表記についての補足

上の話をふまえて、ここで積分の表記について補足しておきます。まず、被積分関数が定数の「1」だけのときは、

積分の表記についての補足
下のように「1」が省略されることがあります。外側の「がら」だけでなんだか妙な感じですが、「dx」が区分求積の切片の幅(という具体的な数値)の名残だと考えればよいでしょう。

また、この応用で、分数がからんだ積分の式を、次のようにまとめて表記している例も、よく見かけます。

積分の表記についての補足



「積分は人生」

それから、この関連でネットを見ていたら、積分記号を応用したこんな文字アートも見かけました。

積分は人生

言葉で書き直せば、我々の人生、あるいは生活(life)とは、生まれ(birth)てから死ぬ(death)までの経験(experience)を時間(Δtime)で全部積分=統合(integration)したもの、というくらいになるでしょうか。

もともと微分積分のうちの「微分」は、数学が純粋な抽象の世界を飛び出して、刻々と移ろい変わる現実の変化に追随するために案出された、という話を最初にしましたが、積分はいわば、その変化の思い出を、大切に寄せ集めて振り返る思い出帳、アルバムのようなもの、というわけです。

積分の独特の機能を逆手にとった興味深い遊びの表現ですが、初学者にとっては、ここから逆に、なかなか感覚的にしっくりこない積分記号(特に定積分)のニュアンスをつかむよい助けにもなるのでは、と思います。


<参考にさせていただいた資料>
  Long s ( Wikipedia )





posted by oto-suu 17/10/27 | 積分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
<< 前のページ | TOP | 次のページ >>
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。