それはなぜかというと、二つの関数の積分を差し引くことで、上のように、二つの関数に挟まれた、間の部分の面積を出せるようになるからです。
これまでは、座標軸の平らな台座の上に乗っかった、片側が曲線でできた部分の面積をみてきましたが、これによって両側が曲線の図形の面積も出せるようになり、面積計算の機能が、さらに拡がることになります。
例として、次の面積を計算してみましょう。二次関数の放物線をふたつ組み合わせて、曲線だけで構成された領域を作ってみました。
それぞれを積分して、f(x)の累積量=面積から、g(x)の累積量=面積を引いてやります。
これで上の図形の面積が出せました。徐々に計算もこみ入って、面倒になってきましたが、その分いろいろな図形の面積も計算できるようになり、ちょっとだけ積分が楽しくなってきた気もします。
ところで、この図形上の差分は、先の和(差)の公式から、ふたつの関数をはじめから混ぜてしまって、その累計量、積分を計算しても同じです。すなわち、
元の図形は、あらかじめふたつの関数を合算して作った上の関数と、見かけこそまったく違いますが、部分部分の変化量も、その累計量(面積)も、すべて同じ、ということになります。
このように、図形の部分部分の切り口の大きさが等しい時に、全体の面積も等しくなるという性質を、カヴァリエリの原理といいます。これは積分の和の公式を、図形的にみたものといえます。
カヴァリエリの原理は、面積や体積の計算をするときに大活躍する、たいへん便利な性質ですので、後ほど項を設けてもう少し詳しく取り上げます。