【初等幾何】円錐台の側面積を求める

前回の円錐の側面積の公式を使って、円錐台の側面積を計算し、その性質をいろいろと調べることができます。

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円錐台

円錐台は、円錐の上部を底面に平行な面でカットした、プリンのような、コップをひっくり返したような形状の立体です。こんな特殊な形態を調べて何か得があるのかという気もしますが、この形状は、球を輪切りにした一部に近似しているので、球の計算をするときの取っかかりになり、たいへん重宝するのです。また、他にも立体を調べるうえで、いくつかの基礎的な性質を学ぶことができ、意外に重要な脇役ですので、じっくり研究していきましょう。

まずは、円錐のときと同じように、ハサミでジョキジョキ切り開いて、平面図に展開してみます。円錐のときの扇形から、中心部分をくり抜いた形になりますね。底面の円と、上側の面の円の円周が、それぞれの弧の長さと一致するのも、円錐のときと同じです。

円錐台の側面積

ここから、円錐台の側面積は、大小二つの 円錐の側面積の差として、計算できます。

円錐台の側面積

ですが、これで終わりではありません。この式では、大小二つの円弧の半径である l1l2 を別に求めておかないと計算できず、実際に使用するにはやや不便です。そこで、もっと簡単に扱えるように、これをあらかじめ組み込んで、さらに公式を作り込みます。


円錐台の側面積

目標は、最初の図で与えられた寸法だけから直接計算できるように、l1l2 を置き換えて式の中から消すことです。上の図をみてください。円錐台を真横から見た断面図ですが、この図で、l2l は、三角形の相似から r2r2r1 に対して比の関係にあります。また、l1 は、l2l の差です。よって、これで上の式を置き換えると、

円錐台の側面積

となり、これで最初の図にある要素だけで側面積の計算ができる式になりました。円錐のときと同じように、整った、とても美しい式です。また、この式についても、次のように書き換えることができます。

円錐台の側面積

これは、円錐のときと同じで、展開図の内側の弧と外側の弧をそれぞれ「上底」と「下底」、半径にかかる幅(「母線」といいます)を「高さ」とみることで、あたかも台形であるかのように計算できることを示しています。円錐の側面積ときには、小さく切り分けた三角形の集合として考えましたが、ここではその小さな三角形の各々の上端をカットした、無数の小さな台形の集合として考えればよいわけです。

さらにまた、この円錐台の側面積の公式は、次のような変形も可能です。

円錐台の側面積

これは何を意味しているかというと、母線のちょうど中間点が回転する弧の長さに、母線をかけるとそのまま側面積になる、ということです。このことは実は先の円錐の場合でも当てはまっていて、回転の要素を持つ図形や立体の面積・体積を計算するときに、広く使えるテクニックになっています(後ほどもう一度取り上げます)。

円錐台の側面積

そして、円錐台を使って球の表面積を求めるときは、この最後の式と考え方を使います。

では、これで準備が整いましたので、さっそくそれをやってみましょう。


posted by oto-suu 16/07/09 | TrackBack(0) | 初等幾何 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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