ここまで確認してきたとおり、導関数は元の関数の変化の様子をパッケージにした関数ですので、関数グラフを視覚的に眺めるだけで、元関数の格好を、かなりの程度まで再現することができます。導関数の個々の値は「微分係数=接線の傾き」ですので、その値がX軸の上にあってプラスになっているか、下にあってマイナスになっているかが重要です。プラスなら傾きは右肩上がり、マイナスなら右肩下がりで、ゼロなら水平です。


このとき、導関数のこの増減の状況を簡易に示すために、上のような小さな整理表を作ることがあります。これを「増減表」と呼び、微分で導関数の分析をするときに、好んで用いられるツールです。この場所では、導関数の増減の様子から元関数の姿を想像するのに、途中で矢印を使った簡易な予測図を作りましたが、増減表はこれをコンパクトに表にまとめたもの、といえます。
ここまで扱った、他の例でもみてみましょうね。




以上の振り返りと、増減表から、もうひとつ気がつく点は、「導関数の値=微分係数=接線の傾き」が、ゼロを間に挟んで、符合がプラスからマイナス、あるいはマイナスからプラスに反転するとき、元関数のグラフでは、その箇所にこんもりと小山ができることです。
この盛り上がり、小山の先端の値を、微分の用語で「極値」といいます。符合がプラスからマイナスに変わって、上側に山になっているときは「極大値」と呼び、反対に、マイナスからプラスに変わって、下向きに谷間を作っているときは「極小値」と呼びます。山や谷間ができること自体は、それぞれ極大・極小になる、といいます。

極値が存在するかどうかは、導関数の値=微分係数が「ゼロ」になっているかどうかが目印になりますが、それだけではダメで、小山を作らないといけないので、前後で符合が反転している必要もあります。増減表をまとめることで、それがはっきり確認できます。
ここでは、もっぱらグラフからの視覚的な情報で要領を確認してきましたが、関数の数式を使えば、この増減の分析をもっとずっと精密に行うことができます。微分で曲線を扱うときには、必ずしも見た目で、極値がある(山になっている)かどうかがはっきり分からないケースも多くありますが、計算式で計算して増減表をまとめることで、ちょうど練達の職人が指先で触って製品のごくわずかな見えない歪みも見つけ出すときのように、それを正確に確認できるのです。このことは、技術的な応用や理論的な研究で、なにかクネクネしたものを扱うときに、微分の考え方が心強い味方になることを意味しています。




















