
「なぞなぞ」のお題は、このグラフをみて、元の関数のだいたいの形状を言い当てよう、というものです。グラフの形と配置関係だけをみて解いてほしいので、数式はあえて伏せておきます。
ある関数を微分して導いた導関数は、元の関数の変化の様子を表現した関数でした。よって、それを丁寧に分析すれば、原理的には、元関数の形状を、ある程度復元できるはずです。
では、具体的にやってみましょう。上の導関数のグラフを、場合分けしながら、もう少し細かく観察してみます。

導関数の各々の値は、元関数の変化における「接線の傾き=微分係数」を示したものでした。微分係数がプラスの値の場合は、接線の傾きは右肩上がり、マイナスの場合は右肩下がりで、ゼロの場合は、ちょうど水平状態になります。また、値が徐々に増えているか、減っているかによって、勾配がきつくなっているか、緩やかになっているかも知ることができます。
ここから元関数を推定すれば、きっとこんな格好になっているのではないかと推測されます。

では、答えです。この導関数の元の関数はこうでした。推定したものと、合っていますね。

現場の証拠から犯人の犯行を慎重に推理する名探偵ものの推理小説のようで、なかなか面白いです。同じような問題を、いくつかやっていきます。次の問題はこれです。今度はちょっぴり難しいですよ。

今度は、この放物線が導関数だとします。元の関数はどんな形でしょうか。同じように場合分けして、分析してみましょう。

この内容をそのまま書き起こせば、元の関数は、きっとこんな感じではないでしょうか。

元の関数をみてみましょう。これがそうです。ちゃんと推定したとおりの形状になっていますね。

元の関数は、単純な単項式の3次関数に尾ひれがついて、形もやや変則になっていますが、導関数の側では、放物線のお碗の底が、X軸の下のマイナス値の領域に沈み込むことでそのことが表現されていて、そこから元関数の形状をりっぱに復元することができます。
ふたつの例題から分かるように、元の関数の上下の位置関係は、定数項の量によってスライドしますので、導関数からは、そこまでは読めません。
一方、導関数の側は、値がプラスかマイナスかが重要で、それが元関数の傾きに反映するので、縦の配置関係そのものが重要な情報です。反対に、自分自身のグラフが右肩上がりか右肩下がりかは、直接関係がなく、特に意味はありません。
いかがでしょうか。導関数の形と配置から、こんなふうに、元の関数のおよその形状を言い当てることができます。導関数が元の関数の変化の様子を示した関数であるということは、導関数の中に、元関数の形状に関する情報が含まれていて、それを読み出すことで、元関数のおよその形態を推定できるということと同じです。
以下、この原理に基づいて、同じ謎解き問題をもうしばらく続けます。ちょっとづつ難しくなっていきますよ。