【微分】微分と接線〜「接する」ということ

ここから何回かは、微分についてさらに理解を深めるために、微分と「接線」の関わりについて考えていきます。

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微分の入門の説明でよくあるもののひとつは、「微分するとは、(グラフの)接線の傾きを求めることである」というものです。それでなんとなく分かったような気になって、そうか、微分は接線と深い関係があるのだな、では、それを理解するには接線のことをもっとよく知らないといけないなと、今度は接線の項にいくと、「接線の傾きとは、微分係数のことである」と書いてあったりして、コンニャク問答で結局なんだかよく分かりません。そもそも接線とはなんでしょうか?

接線についての直感的な理解は、「ふたつの図形(普通は曲線と直線)が交わりもせず、離れもせず、ただ一点だけで、チュッと軽く触れている状態」というものです。

この表現は、「接する」状態を、感覚的によくとらえていますが、一方でそれをもう少しきちんとした形で、正確に定義しようとすると、そう簡単ではないことがみえてきます。

たとえば「曲線(の図形)と直線が、交わらずに一点だけを共有している」状態と決めたらどうでしょうか。この定義は、「円と直線」のような場合には、よく機能します。円(あるいは楕円)と直線の位置関係は、お団子を串が刺すようにグサっと刺さって2点を共有しているか、1点で接しているか、それとも離れて共有点が0かの、3通りですべてだからです。

円と接線

しかし、この定義は、「曲がり」の山がクネクネといくつもあるような曲線ではうまくありません(典型的なのは三角関数の「サインカーブ」です)。こういうグラフの場合は、鳥のモズがミミズやヘビを鋭い枝で「はやにえ」したときのように、直線の先のどこかでは刺さって交わっているのに、別の部分では皮一枚を縫って「接して」いるということがいくらでも起こりうるからです。

接線

このことからは、曲線と直線が「接する」とは、図形の全体を見渡したうえでのものではなく、そのうちの曲がりのひとつの山(盛り上がり)に着目した、部分についての表現であることが分かります。こんなふうに、接線は、突き詰めていくとけっこう奥が深くて、簡単には底が見えません。

反対からいえば、「接線」の定義は、このように容易ではないからこそ、はじめのような話になっているともいえます。いちばん正確に書こうとすると、どうしてもそうなってしまうわけで、もっと簡単に書けるなら、それが書いてあるはずだからです。


ここでは、接線は、直感的にはうまく把握できるけれども、詰めた定義で正確に表現しようとすると意外にラクではないよ、ということを確認して、先に進みます。


タグ:微分 接線
posted by oto-suu 14/01/05 | TrackBack(0) | 微分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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