【微分】等加速度直線運動

前回まで、時間と距離の変化である速度について調べたことを、そのまま二階建てに積み上げて、今度は速度の変化、すなわち加速度を調べてみます。

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やり方の要領は前回までで確認できていますので、今度はいきなり一般的な変数でおいて、そこからちょっとずらした差の変化をとり、その差をリミットの機能を使って、同じようにゼロまでぎゅーっと引き絞ってやります。

速度の変化を求める

すると、結果は上のようになりました。これは時間に対して速度の変化を示す式です。

みると分かるように、計算の内容から必然的に、時間の変数 x が最後の産出物では消えてしまって、定数だけがころんと出てきた式になっています。これはたいへん興味深い結果です。このことからは、いくつかの意味を読みとることができます。

まず第一に、式から時間の変数が消えているということは、この自由落下運動は、加速度という点では時間の変化からは解放されているということです。これはすなわち、落下運動はこの相においては「不変」である、ということを意味しています。時間の変数がありませんので、落下スタートの瞬間からどこの秒数を切り取っても、金太郎飴のように静的に全部同じ性質、同じ加速度です。まるで地上は立って歩けないほどの風雨でも、雲を突き抜けた天上に広がるのは無風で静まり返った快晴の世界、といった眺めです。

ここから、われわれの暮らしているこの世界における自由落下運動は、等加速度運動である、という重大な結論が導かれます。観測の結果から与えられた、時間と距離の最初の関係式から、計算によって導き出されたこの不変の定数が、いわゆる重力加速度です。地球上ではほぼ一定の値です。

次に、「速度の変化」については、上のように時間の変数 x が1個だけ残っていたので、調べることができましたが、その結果このように変数がなくなってしまったということは、この操作はこれ以上は同じ形で続けることができない、ということも示しています。この「変化の分析」はここでどん詰まりで、これ以上の先はありません。変化が消えたので変化を調べる意味もないのです。

そして、なにより注目されるのは、なめらかに速度を変えながら落ちる落下運動というナマの物理現象が、瞬間の変化を調べるこの計算操作によって、変化の度合いがどんどん単純になり、最後にはまったく変化が消えてしまって、そこから不変の性質が取り出された、という事実です。これは、この物体の落下という自然現象の中に隠れていた「本質」が計算の操作によって取り出された、ということでもあります。最初の距離の式では、時間の2乗に比例(2次関数)だったのが、速度の式では時間の1乗に比例(1次関数)になり、最後は0乗に比例(0次)と、まるで階段を降りるように、次数がきれいにひとつづつ落ちていることにも注目してください。


さて、物体の自由落下運動の分析でここまでやってきたことが、実は「微分」の計算操作そのものです。最初の項で、微分とは、数学が不変で固定的なものへの自分の愛着を手放さないまま、ウネウネと変化する生の現実を、自分の流儀に引きつけて理解しようとすることである、と述べました。上の話から、その奇妙な感覚がなんとなく感じ取れたでしょうか。

以上までの演習をベースに、次回でその定義と用語を整理しましょう。


タグ:微分
posted by oto-suu 13/11/10 | TrackBack(0) | 微分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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