【三角比】加法定理を一般角に拡張する

加法定理について、ここまでは、三角形の内角の範囲でそれが成立することをみてきましたが、これを一般角にまで拡張し、三角関数としても使えるかを確認しましょう。

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加法定理が三角関数の一般角でも使えるかを確認するにあたって、ひとつ前段で準備しておくことがあります。それは、三角関数の単位円上で、角度をどのようにとったとしても、円周上のその二点を結んだ弦に対して余弦定理が成り立つ、ということの確認です。

加法定理を一般角に拡張する

上の図でまず、左側の方をみてください。これは θ が2π (180°)より小さい場合です。このケースでは、 θ は三角形AOBの内角ですので、弦ABの長さは、ふつうに余弦定理で計算することができます。単位円の半径を1とすれば、その長さは、余弦定理の式から、

加法定理を一般角に拡張する

です。次は右側です。こちらは θ が2π より大きい場合ですが、実はこの場合でも、弦ABの長さは、 θ に対して余弦定理の式で求められます。なぜかというと、 θ とその裏側にある三角形AOBの内角になる∠AOB は、補角、あるいは負角の公式から、cosine の値が同じだからです。

加法定理を一般角に拡張する

また、図にはありませんが、 θ がぴったり π や 2π の場合も、コサインの値は「−1」「1」になることから、上の式はそのまま成立します。結局 θ をどのような大きさにとっても、弦ABの長さは余弦定理の式で求められることになります。このことをまず確認しておきます。



一般角でも成り立つ加法定理

加法定理を一般角に拡張する

それでは、三角関数の単位円上で作った一般角で、加法定理が成立することを確認していきます。まず、ふたつの角 αβ が上の図のような配置関係にあるとします。このとき、単位円上の動径の先端AとBの座標値は、単位円の半径を 1 とすれば、三角関数の定義から図右下のようになります。

また、弦ABはふたつの仕方で長さを求められます。ひとつは上の話から、αβ の差に対して余弦定理で求めるやり方で、もうひとつは、それを斜辺とする直角三角形(点線部分)について、三平方の定理を適用する方法です。よって、このふたつを等号でつなぎ合わせて、

加法定理を一般角に拡張する

あとはこの式を整理していきます。右辺は、同じ角度のサインとコサインの2乗の和は 1 なので、

加法定理を一般角に拡張する

これを元の式に戻してやって、

加法定理を一般角に拡張する

これで加法定理のうち、コサインについての引き算の式ができました。加法定理はサインとコサインのうち、どれかひとつ与えられれば、残りはそこから変形できます。また、上に述べた余弦定理の話から、この式は、単位円上で一般角をどのようにとっても成立しますので、これで加法定理が、一般角においても使用してよいことが確認できた、というわけです。三角形の内角から離れて、任意の角同士についても、自由に足し引きする計算ができる、というのは、非常に強力な機能です。


posted by oto-suu 13/08/25 | TrackBack(0) | 三角比 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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