二項定理の項の生成をシミュレーションした前項のひな壇状の遷移図から、例として4段目の中央のブロック 「6aabb」 を取り出して特徴を調べてみましょう。

まず、このカタマリの縦長、ボールの個数は、段数の「4」と一致します。これは段数を降りるごとに、1ケづつボールをお尻に追加していくことから明らかで、同じ段のブロックの縦長はすべて段数と同じです。

次にここから縦の列を取り出すと、どの列を取り出しても同じ個数の「あかたま(a)」2個と「あおたま(b)」2個づつが含まれていることが分かります。個数がそろっているものを、ボール並べの中で同じ「aabb」のブロックとして一括りに梱包してあるので、これも当然です。
ではこのブロックの横巾「6」は何を表しているのでしょうか?この横巾は、同じ個数の「あかたま」と「あおたま」が積み重なる「パターンの違い」を表しています。いちばんてっぺんから、ボールを規則的に追加していくことで、「あか」と「あお」の積み重なり方は同じ「aabb」でもすべて異なっていて、それがここに寄せ集まって全部で6列になっているのです。
このことは、このブロックを今度は横側の行に切って眺めたときに、縦の4つのポスト(位置)に対して、「あかたま(あおたま)」の割当てがそれぞれ違っているパターン、と言い換えることができます。これを、仮に「あおたま」の方を福引きの当たり景品とみなして、先に習得した「組合せ」の考え方で読み替えれば、「同じ当たりを引く福引き」の問題とみなせます。

ここから、このパターンの数(横巾)は、「4人が2ケのあたりを引く福引き」=「4つの中から2つを選ぶ組合せ」で「C(4.2)」となり、これを実際に計算すると「6通り」となって横巾の値が計算される、というわけです。
同じ理屈で、すべての項の横巾を計算することができます。

では、少し視野を先まで広げて、この展開図にはない、「6段目の左から3番目の項の係数」がいくらになるかを、式をあてはめて計算で推測してみましょう。

これは、式でいえば「6次式の左から3番目の項の係数」に相当します。3番目ですので、当たりの「あおたま」は左から 0、1、2 で「2つ」です。最初に実際に展開した式と比べてみましょう。みごとに合ってますね。

これが二項定理の各項の係数を「組合せ」の考え方を用いて、直接計算する原理と方法になります。いかかでしたでしょうか?順序だてて一歩一歩みてきましたが、やっぱりまだだいぶん難しいですよね。