最初の二次式のところで、これを確認すると、

のように、一方の各項にそれぞれ (a+b) が掛かるので、結局、各項にそれぞれ a、b を掛けたものを足し合わせる形になります。これを模式図で書けば、

となります。以下、3次式以降についても、ちょうど数列の漸化式の考え方で、直前の次数の式にもう一回分新たな (a+b) が掛けられるので、同じことが続いていきます。つまり、

ということですね。従って、上の模式図を同じ形でそのまま続けていくと、

のような、ピラミッド型の形でどこまでも展開していけることになります。
ここから、前回あげた点も含め、いくつかの特徴を読みとることができます。まずひとつは、各項の a と b の合計の次数は常に一定で、元式の次数と同じになる、という点です。 ひとつ前の次数の式のそれぞれの項に、必ず a か b かのどちらかの値が一回づつ掛かりますので、次の次数の項はそのようになります。ちょうど、風のない静かな晩に降った雪が、真っ平らに、きれいに振り積もっていくのといっしょです。
また、今度は項の係数の方に着目すると、両斜め上から降りてくる前の次数の項が、a・bの乗数が揃って合算されますので、係数はその和になっていることも確認できます。ここから、次の次数の項の係数を、同じく数列の漸化式の考え方に基づいて、簡単に予測することができます。
この図を使えば、前回手動で展開した式について、もっと高い次数まで、比較的簡単、また正確に各項を指定して展開していけますね。