【二項定理】二項定理とはなにか

今回から「二項定理」(binomial theorem)を勉強します。「二項定理」はここから先、学習を進めていく上で、随所で必要になる基本的な計算テクニックを導く定理です。純粋に計算に関する定理なので、それ自体が実用上の用途でただちになにかの役に立つというものではありませんが、整然とした規則性が現れることから、計算の美しさや不思議さが楽しめる箇所でもあります。

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それではまず、それがどんなものかから見ていきます。ここでの学習のはじめの頃、因数分解の公式を確認したことがありました。

因数分解の公式


この因数分解の公式では、カッコに掛かっている次数は「2」でしたが、「二項定理」は、この次数が「2」よりももっともっと大きくなっていった時に、式を展開した形がどうなるかを与える定理です。二項定理をマスターすると、もっと大きな次数のときに、式を素直に展開すると、左から何番目の項がどうなっているか、ということを直接指定することができます。このことが、数学の他のさまざまな分野で大きな関わりをもってくるため、二項定理はたいへん重要なものとされているのです。

では、手始めに、この次数が小さいはじめのあたりを実際に力づくで展開して、式の形がどんな具合になるかを観察してみます。このくらいであれば、丁寧にやっていけばまだなんとか手作業で展開できますね。

二項定理の展開



式の外観から既に把握できる特徴

これだけの計算例からだけでも、既にさまざまな興味深い特徴を読みとることができます。思いつくままにいくつか列記してみましょう。

  • 各項の係数は中心で折りかえして、左右対称になる
  • 左から2項目(=右から2項目)の係数は元式の次数と同じになる
  • 項の数は「次数+1」ケになる
  • aの次数は左から1づつ減っていき、bの次数は1づつ増えていく。各項のaとbの合計の次数は元式の次数と同じになる

次回からより踏み込んで、これらの特性と、それらが生じてくる計算上の根拠を調べていきます。


posted by oto-suu 12/12/22 | TrackBack(0) | 二項定理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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