この方法は、円周率の初期の探究において、アルキメデスや日本の関孝和など、東西の数学者が実際に使用した、由緒正しい方法です。
さっそく大もとの原理からみていきます。今、角数が k 個ある正多角形、正 k 角形の一片の辺の長さが、数列の項の a(n) で表されるとして、その正多角形が、直径がちょうど 1 である円に、図のようにぴったり内接しているとします。
直径が 1 ですから、半径はその半分の 1/2 です。このとき、k の角数をどんどん上げていくと、正多角形の外周の長さは、円周のそれにどんどん近似していきますから、円周の公式から、両者の関係は以下で表すことができ、それを整理することで円周率に相当する計算式も取り出せます。
また、 正多角形の辺長 a(n) の値は、上図からわかるように、三角形の一辺でもありますので、三平方の定理を上手に使うことで、数列の漸化式を組みあげることができます。
これをベースに、円周率 π の値がいくらになるのか、計算で探ってやろう、というわけです。
なお、この手法では、通常、円の内側からの内接多角形と、外側からの外接多角形を両方使って、挟み込むように追い込んでゆくやり方が用いられますが、ここでは簡単になるように、一方の内接多角形だけを用いることにします(それでも計算はかなりごちゃごちゃします)。
では、この考え方を使った、実際の計算がどうなるのかを、次回でみていきましょう。