任意の金利の連続複利の式は上記でした。今、この運用額の値を x と置いてみます。
この式で、金利の r は「指数」ですから、「対数は指数を単独で取り出したものである」という対数の基本の考え方に従って、これを対数の式に置き換えると、
のように、金利 r は、ネイピア数「e」を底とする対数の式として表現できます。このネイピア数「e」を底とする対数を、対数の中でも特別に「自然対数」(natural logarithm)といいます。
自然対数という名称を設定したところからみると、ネイピア数はその底(base)という位置づけになりますから、ネイピア数は、その呼び名を別名「自然対数の底」ともいいます。先にも述べたように、ネイピア数はこの自然対数の形で用いられることが最も多いので、こちらの呼び方の方がより一般的です。
ファイナンス、金利計算においては、上の自然対数の式は、ある運用額をもたらす連続複利の金利はいくらか?という意味になります。たとえば、100万円の元本を105万円にする連続複利は何%か、112万円にするなら何%か、という計算が、この式から逆に出せるわけです。
これらの運用額と対応する単利、あるいは、所定の期数の複利の金利というのは簡単に計算できますから、このことは連続複利を基準にさまざまな種類の金利が統一的に扱えるということを意味しています。金融サービスを開発するうえで、連続複利が重宝される理由もうかがえますし、また、対数の底は自由に変換できますので、金利に代表されるような、掛け算で遷移する動きのときには、自然対数を基地(base)にしておいて、そこから出たり入ったりするとなにかと具合がよさそうだ、ということも、なんとなく感じとれます。