ある数を累乗したときに1の位にくる数には、調べていくといろいろと面白い性質がありますが、なかでも目を惹かれるのは、整数は5乗すると必ず1の位が元の数に戻る というものです。
2の累乗について調べたときに、1の位には周期性があって、2の場合にはそれは4乗づつ、というものでした。周期が4回転ということは、5回転めには元の2に戻る、ということですが、すべて調べると、周期は1、2、4の3種類で4が最長であり、6周期や7周期はありません。従って、1の位は、5拍めにはすべての数が必ず元に戻る、ということになります。

ところで、整数に整数を掛けたときに、1の位が掛けた数と同じになるのは、(0と5を除けば)「1」と「6」のふたつですから、5乗めに元に戻るということは、(0と5以外は)4乗したときに1の位が1か6のどちらかになる ということと同じです。

そうなってますね。だんだん話がみえてきましたが、この「1」と「6」というのは「0」と「5」に1を足したものですから、4乗したときに1の位が1か6のどちらかになるということは、4乗した数を5で割ると1余るということと同じです。ここにフェルマーの小定理が現れています。

こんなふうに、4乗についてのフェルマーの小定理が、1の位の周期性のもとになっているというわけです。小定理はこんなところにも働いているんですね。上の一覧で「5」のケースはこの話とは独立していますが、フェルマーの小定理が成り立つのは割る数と累乗される基数が互いに素(coprime)の場合ですから、これもちゃんと整合性が取れています。