FV関数は積立運用で「将来価値=運用結果額」を算出する関数でしたが、PMT (Payment)関数は、将来価値を実現させるための、1期あたりの所要金額を求める関数です。PMT関数には2つの用途があります。ひとつは、ローン返済の元利均等返済の固定返済額を求める用途で、もうひとつは、積立運用の積立額を求める用途です。ひとつの関数の中にこの2つの用途が同居しているところがPMT関数のユニークな特徴となっています。
PMT関数で 「元利均等返済の固定返済額」 を求める
まず一つめの用法からいきましょう。PMT関数で元利均等返済のローンの固定返済額を求めるときには、以下のように値をセットします。PMT関数のこの用法は、元利均等返済の計算式に対応していると考えられます。
実際の使用で確認してみましょう。まずはサンプル例で使ってきた、100万円を10回払いの金利2%で借りるケースでみてみます。
この場合、「借入額=現在価値」は、こちらの手元にお金があるのでプラスで入れ、また、「支払い期日」は「期末:0/期首:1」のうち、「期末:0」を入れます。元利均等返済の計算式で出したのと同じ額が(手元から出て行くマイナスの値で)算出されています。
次は、Wikipediaの住宅ローンの例を同じように入れてみます。
サイトに表示されていて、計算式でも検算した値と合っていますね。
PMT関数で 「積立運用の積立額」 を求める
一方、もうひとつの用途である積立運用の積立額を求めるときには、PMT関数は以下のように値をセットします。この場合には、計算式は以下の積立運用のものに対応していると考えられます(式の a の部分を求める形になります)
積み立て貯蓄のときに使った例で確認してみましょう。この場合、頭金があれば入れますが、既に積み立てに回している資金ですので、マイナスで入れます。また、運用結果は 680,335円 でした(「支払い期日」はFV関数と同じ「期首:1」をセットします)。
積み立て額として設定した5万円が逆算されています。
以上の検証から、PMT関数は、通しでみると「現在価値を将来価値にするための1期あたりの必要金額」を出す計算を行っていることがわかります。とはいえ、計算式は上のようにそれぞれ違っていて、これをどう考えたらよいのかという点が気になります。ひとつの関数の中にふたつの計算式を持っていて、現在価値と将来価値を見合わせながら、そら今度はこっちだぞ、と中で使い分けているのでしょうか?それもちょっと妙な感じです。
この点も面白いので、項をあらためて研究したいと思いますが、その前にひとつ積み残していた課題を先に片づけておきましょう。その課題とは、ここまでたびたび出てきた「支払い期日」の問題で、こちらをまず固めてから上の問題にとりかかることにします。