元利均等返済の毎回の返済額を出す最終の計算式を導く途中で、次のような式がありました。
この式で、D は借り入れ元金、金利は R((1+R)=r )であり、元利均等返済の毎回の固定返済額が x でした。
今、この式の x 以下を右辺に移項して、次のように改造してみます。
すると、上のようになりましたが、この式はなにを意味しているでしょうか? x は毎回の固定返済額で、そのおのおのが、金利の期数乗分で割られていますから、このことは、各期の(固定)返済額を現在価値に割り引いた(割引計算した)ものの合計が、もとの借入元金と一致する、と読めます。
先の100万円を10回で分割返済するサンプル例でこのことを確認してみましょう。1回の返済額は、計算式から111,327円でした。これを金利(=割引率)の期数乗分で割って、それぞれの割引現在価値を出してみます。
すると、この計算値は、先のサンプル表の各回に割り振った元金内訳の額と一致していることがわかります。この合計額はもとの元金全体の100万円ですから、上の計算式から導いた内容が実際に確認されました。
これを今度は逆側からみれば、この形で各回に割り振った元金にそれぞれの期数分の金利を乗じたものの合算が借り手の総支払い額(=各固定返済額×期数)ですから、前回載せた図の、金利と割引率の相互関係が成り立っています。
先にこのサンプル例を作ったときには、元利均等返済の計算式でまず固定返済額を求め、そこから残債方式に基づいて金利の内訳額を出し、その差額として元金の割当分を出していました。各回の元金内訳は、他にこの割引計算によっても固定返済額から直接算出することができ、両者の額は一致します。元利均等返済はなかなか奥の深い、精妙な作りになっていることがここからもうかがえます。
この元金の割引計算の側から、その合計額が元金になるという形で x についての方程式をたて、毎期の固定返済額を求めることもできます。
元利均等返済の計算式を導く際に、複数のやり方がある、と述べましたが、もうひとつのルートがこの割引計算を使ったやり方です。