この図を見ながら、二つの返済方式の概要と違いについて確認します。
まず「元金均等払い(返済)」は、借り入れの元本を返済回数で均等に割って、毎回の支払い予定額に均等に配分します。そのうえで、前回述べた元金の全体ではなく支払いの残っている残債務に金利をかける残債方式に基づいて、毎回の金利支払額を計算する仕組みです。支払いの最初の方は、債務残高が多いため金利と全体の支払額が多くなり、あとになるほど少なくなって返済もらくになります。
一方、「元利均等払い(返済)」は、上記の毎回の元金の返済額を微妙に加減することで、「利息+元金」の合計額がはじめから最後までぴったり同じ額になるようにする返済方式です。元金均等返済と比べると、あたまの方では元金の配分を抑え、うしろの方では厚めにすることでそれを実現します。支払い額をいくらに設定すればそうなるかは、数列の知識を活用した計算が必要で、簡単には出せませんので、これをどう算出するかがいちばん大きなテーマです。
元利均等払いは、毎回の返済額が同じで分かりやすいところが大きな利点ですが、元金均等払いに比べると、元金の減り方が遅いので、金利と全体の支払額も多くなる、というデメリットもあります。
二つの方式とも、毎期の残債務に単利で金利を掛け、金利分は毎回払いきってしまうので、前回述べた「単利原則」「残債方式」「利息優先」という原則を満たした形の設計です。
両者のうち、実際のローン返済で圧倒的に多く採用されているのは、分かりやすい「元利均等払い」の方ですが、ローンの設計の実際と上記の原則の適用を確認するために、まず計算が比較的簡単な「元金均等払い」の方から実際の計算方法をみていくことにします。