もとでの元金に、一定期間毎に金利がかかるとして、毎回元の元金に金利をかけるのが単利(simple interest)運用です。利率とはいっても、期ごとに同じ金額が初項の元金に単純に足されていくので、等差数列による増加になります。
これに対して、前期の運用利息分をもとの元金に合算して、その合計額に次期の金利をかけるのが複利(compound interest)です。前期の利息が毎回繰り込まれて元金の額が変わり、利率は一定でもそれを掛ける元金が増大していくので、単利の場合よりも増加率が大きくなります。前期の利息を元金に足して新たな元金にすることを「繰り入れる」といいます。一定の比率で増加していきますので、等比数列による変化になります。
実際の貯蓄や投資では、複利による運用を基準に考えますから、これらの金利計算ではもっぱら等比数列に関する計算が活躍する、ということになります。
具体的な例でみてみましょう。今、100万円の元金を1期あたり3%の金利で運用するモデルを考えます。元金を a、金利を R とおくと、まず単利による運用では、毎期ごとに最初の元金に対する同じ利息を足していく形になりますので、
これに対して複利の運用では、1期あたりの運用額は、前期の金額に(1+R)を乗じたものになりますので、この率を小文字の r とおくと、
こんなふうにはじめに元金を積んで、そのあと何も触らなければ、運用期間が経過したあとの運用額は、等比数列の一般項で表されます。
運用期間を仮に20期分とおいて、運用結果の違いをそれぞれ計算してみましょう。
運用期間を充分取ると、複利の方がだいぶん金額が大きくなりますね。
このように元金に利息の繰り入れが行われる複利の運用で、単利の場合よりも運用額が多くなることを、複利効果といいます。
複利の運用で投資をしているときに、運用した利息分を儲かったからと途中で下ろして使ってしまう人がいますが(典型例は分配配当型の投資信託がそうです)、複利効果を自分で捨ててしまっていることになるので、もったいないですよ、というのがよく言われるところです。