隣の項との関係で数列を定義した「漸化式」と、初項とのそれで定義された「一般項」は、本来同じ数列を別々の仕方で表現したものです。
前回は、隣接二項漸化式について、等比数列化するという技法を用いて一般項化するやり方を確認しました。なるほど計算のうえでは確かにそれで等比数列らしき格好にはなりましたが、もともとを考えれば等比数列ではないのですし、はじめの漸化式からはだいぶんかけ離れた、複雑な式になって、これが同じ数列だとはにわかには信じがたい気もします。実際に値を入れて、数列の姿がどうなるのか、確認してみましょう。
前回扱った隣接二項漸化式と、そこから苦心して作った一般項は以下のものでした(漸化式はひとつずらして書いてあります)。
これにいくつか値を入れて、両者が実際にどう遷移するのか、状態を観察してみましょう。
画面キャプチャーで計算内容がわかりにくいので、一般項の側に途中経過をはさんであります。なるほど確かに二つの別ルートからの計算結果がバッチリ一致しているのがわかります。一般項、イイ出来です。値を変えて、もうひとパターンみてみましょう。
OKですね。今度は、特性方程式の解を差分に立てた、仮想の等比数列の値も加えて比較してみましょう。もとの数列に対して、等比数列化した漸化式は以下のものでした。
これを上の例に重ねてみます。まずは一番めのケースから。
次にもうひとつのケース。
特性方程式の解を差分に加えた数列は、確かに前項に公比 b を掛けた(純然たる)等比数列になっていることが確認できます。
いかがでしょうか。もとの数列に特性方程式の解を加えてやると、ちょうど等比数列になり、逆にそこを仮想線の目印にして、特性方程式分だけずらしてやることで、もとの数列の一般項を作り出している、というニュアンスをつかむのに、多少は役に立ちましたでしょうか?