フィボナッチ数列(Fibonacci numbers)は、「項の値が前二項の和になる数列」 というのが定義です。ここまでみてきた等差数列、等比数列は、いずれも、前の項に一定の値を足したり掛けたりすることできる数列で、隣の一項と自分の2項間の関係(隣接二項)で定義されていました。これに対して、フィボナッチ数列は、隣の二項と自分自身の計3項(隣接三項)で定義される点が大きな特徴です。これを漸化式でみると、以下のようになります。
ちなみに、隣り合う3項の和の関係が表現されていればいいので、漸化式は以下のように書いても同じです。
実際の値を入れてみましょう。初項を1とすると、
となります。フィボナッチ数列は、こんなふうにとってもシンプルな定義、シンプルな漸化式ですが、いろいろ調べていくと深遠で神秘的な性質がたくさんあり、その性質が深く研究されています。また、フィボナッチ数列は、なぜか自然界の生物の形状などにも多数発見されていて、その代表例は、木や草に葉っぱが生えるときの生え方(葉序)です。フィボナッチ数列の「フィボナッチ」は、イタリアの数学者の名前ですが、フィボナッチは、ウサギのつがいの増え方を考えていて、この数列に行き着いたといわれているので、もともと自然現象に縁の深いところから出てきた数列なのです。
この関連で、先日、アメリカのある男の子が自由研究でフィボナッチ数列に基づいて太陽光発電パネルを配置して発電効率をあげる、という考案をしたことが話題になっていました。
彼は木の成長過程に着目し、成長するにつれて葉っぱはどのように光を浴びているのかについて考えたそうだ。その結果、木の枝葉はお互いに光を遮らないようにできており、そのメカニズムは「フィボナッチ数列」に基づいているものであることを知った。そこで、それを元に太陽光パネルを配置し、自ら作った平面パネルと比較して実験を行ったところ、発電効率は木のモデルの方が20パーセント優れており、さらに1日の発電時間も2.5倍長く稼げることがわかった。さらに冬の時期になると、発電効率は50パーセントも上回っていたのである。このことから、砂漠のような広大な敷地でない限りは、彼の考え付いた木のモデルが活躍する可能性がある。(13歳の少年が画期的な太陽光発電モデルを発表し注目を集める : ロケットニュース24)
この考案がほんとうに発電効率のアップにつながるかどうかは、まだ検証の余地があるようですが、それをおいても発想の柔らかさはとても素晴らしいですね。英語の元記事の方には、葉序との関連を説明するより詳しい図も出ていて、参考になります。
このフィボナッチ数列はまた、前回取り上げた「黄金比」とも深い関係があることが知られています。ここからしばらく、このフィボナッチ数列を肴(さかな)にして、それをつついたりひっくり返したりしながら、数列を扱う技術についてより深く学んでいくことにしましょう。
<参考にさせていただいた資料>
The Fibonacci Numbers and Golden section in Nature ( University of Surrey )
13歳の少年が画期的な太陽光発電モデルを発表し注目を集める ( ロケットニュース24 )
The Secret of the Fibonacci Sequence in Trees ( American Museum
of Natural History )
The Fibonacci Numbers and Golden section in Nature ( University of Surrey )
13歳の少年が画期的な太陽光発電モデルを発表し注目を集める ( ロケットニュース24 )
The Secret of the Fibonacci Sequence in Trees ( American Museum
of Natural History )