この無限数列について、無限に項が続いた先がどうなるのかを想像するのは、数学者ならずともたいへん興味をそそられるテーマです。それには、いくつかのパターンが考えられますが、等比数列 を使うと、このいろいろなパターンが手軽に観察できますので、挙動を確認してみましょう。
まず、公比 r が1より大きい( r>1 )ときは、どうなるでしょうか。
n が増えれば増えるほどどこまでも大きくなっていきます。 バクテリアの繁殖や曾呂利新左衛門のケースですね。
「0<r<1」のケースではどうでしょうか。
だんだん小さくなって0に近くなっていきますが、底が抜けて0を割ることはありません。
公比が「−1」より小さい( r <−1 )ときはどうでしょうか。
累乗の次数に応じて正と負の値をジグザグに繰り返しながら絶対値が増えて振幅が大きくなっていくのがわかります。
このような「無限数列の無限に続いた先の状態」のことを「極限」といいます。そして上のような分類には、それぞれ名前がついています。まず、極限がある一定の値に近づいていくことを「収束」(converge)するといいます。一方、無限数列の極限が一定値に収束しないときには、それを「発散」(diverge)するといいます。「発散」には、上のようにどこまでも大きくなっていくものや、どこまでも小さくなっていくものの他に、最後の例のような、そのどちらにもならないものがあり、これを「振動」(oscillate)するといいます。分類上は、まず収束するかしないかで「収束」と「発散」を大きく分けて、「振動」は「発散」の中の一部、という考え方です。
最初に挙げた、自然数や偶数奇数の数列は、「等差数列」の無限数列になりますが、項を無限に延ばした先はどこまでも大きくなるので、極限が「発散」するケース、ということになります。