このように書くことで、対数のログのときと同じように、数列の和をいろいろな数式の中のひとつの項として、自由に計算の中で使いまわせるようになります。
さっそく具体的な書き方を確認しましょう。ギリシャ文字の「シグマ」は、和(Summation)の頭文字「S」にあたるものとして選ばれています。
読み方は特に決まったものはなく、上のように 「シグマ、i=1 から n まで、ai 」 あたりが一般的のようです。
それから、記述の中で、数列の項を指定するためのインデックス用の変数が用いられていますが、これは仮に置かれているものなので、アルファベットに特に意味はありません。なんでも好きなものを使ってOKです。ただ、これまでみてきたように、数列の項を一般的に示すものとして自然数(natural number)を表す「n」の文字はあらかじめ使われていますから、それとかぶらないように、「k」や「i」などの字が好まれています。式の機能は、この変数を指定された範囲で、ホッチキスのように1発づつ動かして玉を打ち出しながら、出力されたものを集めてきて全部足す(「足し上げる」といいます)、というものです。
いくつか実際の例でみてみましょう。
この記号は、数学や経済学の本を開くとやたらに出てきますし、なにやら構えも大きくて厳(いか)めしく、目立つので、数学嫌いのひとにとっては「難しい数学」のシンボルみたいになっている記号のひとつです。本を開いてこの記号に出くわすと、「あッ、数式だ、急いで逃げなきゃ、くわばらくわばら」とびっくりして本を閉じてしまいます(笑)。ですが、基本の意味は、このように数列の項をあるところからあるところまで足しました、というだけの単純なものです。体はいかつくてちょっと近寄りがたいけれど、本当は見かけによらず気のいいクラスメイトみたいなもので、これからはそんなに毛嫌いしないで、少しでも仲良くお付き合いしていけたらと思います。