掛ける一定の数が公比(common ratio)です。等比数列はまたの名を幾何数列(geometric sequence)ともいいます。足し算をベースにした等差数列の別称が「算術数列」でしたから、この「算術/幾何」の言い分けの考え方は、平均のときの「算術平均/幾何平均」と同じです。
数列で、n 番目の項の値を求めたいときに、初項との関係において定義した計算式を「一般項」と呼ぶのでした。等差数列のときと同じように、等比数列についてもこれを求めてみましょう。等比数列の n 番目の項の値は、上の図から、初項 a1 に(n-1) 回分公比 r を掛けたものになるので、以下の式で求められます。これが等比数列の一般項の式です。
この等比数列の一般項を用いて、以下の例題を解いてみましょう。
曾呂利新左衛門のほうびの話
等比数列は、掛けて増減する数列ですから、公比が「r>1」のときは、上の例のように、わずかな項の進みで「ねずみ算」式に急激に増えてとんでもない巨大な値になることがよくあります。このことを題材にとった、有名な日本のとんち話に、戦国武将で天下統一を果たした豊臣秀吉の家臣、曾呂利(そろり)新左衛門の話があります。あるとき、新左衛門が太閤秀吉からほうびをもらえることになって、気前よく、なんでも好きなものを言ってよいぞ、と言われたところ、そんな大層なものはいりません、米粒ひと粒でけっこうです、ただ、明日は二倍のふた粒、その翌日はさらにその二倍の四粒、と一ヶ月だけ同じことを続けてください、と申し出ました。なんだそれっぽっちでいいのか、と秀吉も快諾して、毎日相当量の米を運ばせたら、最後には米倉の中身を全部を持っていかれそうになって、さすがの太閤もびっくり仰天、降参した、という話です。
これをさっそく、上のテクニックを使って計算してみましょう。米ひと粒からスタートして一日一回、倍にしていったら、一月後の31日めにはどれだけの量になるでしょうか。
倍々で増えますから、もしもう1日さらに1日と続けたら、翌日は40t、その翌日は80tです。等比数列おそるべし、ですね!