無限連分数が無理数とぴったり対応するのは、その入れ子が無限に続く限りにおいてですので、その計算をどこか途中で打ち切って回収すれば、それはふつうの整数の比としての分数に閉じて、元の無理数との対応はなくなり、その代わりに、無理数に対する有理数の質のよい近似値が得られます。入れ子の深いところで切れば、互除法の整数比は大きな数同士のものになりますが、それだけ近似度も高くなりますし、反対に、浅いところで切れば、精度は落ちますが、代わりに扱いやすい、簡単な整数比の分数が得られます。
平方根を例にとってみてみましょう。平方根の連分数は以下のものでしたが、これを「逆互除法計算機」である連分数計算機にかけて、各階層における互除法の整数比を取り出して近似度を比べてみます。
今度は円周率で同じようにやってみましょう。
上記のいくつか(「22/7」や「355/113」など)は、円周率を近似的に代替する精度の高い分数として、古代から実際に計算で重宝されてきた分数です。互除法の考え方を活用することで、円周率とこれらの分数の関係が簡単に取り出せました。
ところで、以上の内容をふまえて、次のもっともシンプルな無限連分数を同じ計算にかけると、それはいったいどんな無理数と対応するでしょうか?あるいはまた、各階層でどんな近似分数が得られるでしょうか...
おっと、ここまで来ると、実は次の「数列」の内容にまで入ってしまいます。ですので、ここから先はまたのお楽しみということで、後に取っておくことにしましょう。
さて、「数の構成」という括りで、ここまで循環小数、二進法、剰余演算、ユークリッドの互除法、と学んできましたが、以上でひと区切りです。軽いウォーミングアップくらいのつもりだったのですが、やっている間にあちこち話が広がって、ずいぶん盛り沢山の内容になってしまいました。それでも、うろうろしている間に、使いでのあるアイテムをいくつも稼げたと思います。全体を貫くキーワードがなぜか「割り算」というのも面白かったですね。
それでは、次のテーマは「数列」です。