同じ「法」なら混ぜて掛けてもよい

合同式で掛け算ができることが確認できましたので、和の公式のときと同じように、推移律と組み合わせることで、ふたつの合同式の両辺を掛け合わせることもできることが分かります。
掛けてもよいなら累乗してもよい

これも和のときと同じように、上の、式同士の積の公式で、「c=a」「d=b」とおくと、「aの2乗≡bの2乗」となります。これも繰り返せますので、合同式は両辺を同じ乗数で累乗しても合同関係が維持されることになります(整数の世界の話ですので、このときの累乗値 m は自然数とします)。余りだけに着目すれば、同じ余りを同じだけ累乗しても値が同じであることは変わらないからです。
とはいえ、式のロジカルな組み合わせでは、確かにそうなのかもしれないが、ここまでくると直感的にはホントかなぁ、という気もしてきますね。実際の値を入れてみてみましょう。

みごとに一致しています。次は mod 7 にしてみます。

右辺が「1」になっていますが、1は何乗しても1のままなので、余りもずっと1になります。大丈夫です。
こんなふうにいくらでも膨らませていけるので、この公式を上手に使うと、とんでもなく巨大な数の余りを一瞬で(というと大袈裟ですが)出す、という芸当ができるようになります。
合同式の機能を確認する入門編の例題では、よく、「××の100乗を x で割ったときの余りを求めなさい」というお題が出されます(あとで実際にやってみます)。剰余演算の機能をうまく使うと、電卓を使っても難しいような、こういう問題があっさり解けるのですが、この累乗の公式はその際に中核として大活躍する、もっとも重要な公式です。