【数の構成】合同式で遊ぼう〜合同式の演算公式U

合同式の演算公式の続きです。

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同じ値を足し引きしてもよい

合同式の演算公式

次はこの公式です。もともと剰余の合同関係とは、割り数の倍数を同じ余りの分だけスライドさせた数同士の関係のことでした。ですからそれに加えて、両辺をさらに同じ幅だけ積み増したり減らしたりしても、合同関係自体は変わりません。ただしこの場合、裏側にいる余りの値もいっしょに動いていることに注意しておく必要があります。とはいえ、それは考えようによっては、余りの値を自分の好きなように操作できるということでもあるので、うまく使えれば合同式を操作するときの強い味方にもなります。

これを式で見ると、合同式の定義から差分がモッドで割り切れればいいので、

合同式の演算公式

となり、スライド分のcが相殺されて、差分もnで割り切れます。もっと丁寧にみるなら、a、b、c を割り算の基本構造式を使ってそれぞれ以下のようにおくと、

合同式の演算公式

となって、同じ c だけずらしても、余りは両辺で同じになります。このとき下線部の新しい余りは、増えすぎてもう一回追加で割れるようになっていることもあれば、逆に削れすぎて「商」の取り分を齧りこんで減らしている場合もありえます。ですが、その増え方や削れ方は、両辺で均等にスライドしているので、結局「余り」は常に同じです。


「負の値」の合同関係

ところで、この公式を使って、両辺の値を同じ分量だけ減らしていき、どちらかが0になったところで止めずに、そのまま突き破ってマイナスの値の側まで進んだとします。直感的には「マイナスの値の余り付き割り算」ということで、なんだか妙な感じがしますが、合同式の演算ではこれで不都合は出ないので、引き過ぎてマイナスにはみ出すことも許容して、それでよしとします。この考え方は、対数において、計算の自由度を広げるために、指数を負の値にまで広げたときとと同じです。あとで出てきますが、これによって合同式の機能は大幅にドーピングされて、非常に強力なものになります。

「負の値」の合同関係

この場合、割り算の基本構造式はどのようになるでしょうか?上の例から右辺の値を取り出してあてはめてみましょう。

「負の値」の合同関係

この際、基本構造式において、余りはプラスと定義しておいたことが意味を持ってきます。元の被除数と、商について上図のように禁を破って負の値を解放してしまったので、「余り」についてもマイナスを許容しようという考え方もありえます(「負の剰余」)。しかし、それだと、式のパターンが複数になって計算がやりにくく、剰余が一定の幅の中を回転するサイクルも乱れてしまうので、ここでは定義として、余りだけは常にプラスとして固定しておくことにします。そうしておけば式の形はひとつにピタリと決まるからです。


posted by oto-suu 11/08/27 | TrackBack(0) | 数の構成 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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