
ビットとバイト
IPアドレスの前にまず、コンピュータの情報量の単位であるビットとバイトについて復習しておきましょう。ビット(bit)は「binary digit(2進数の桁)」をつづめた造語で、文字通りに2進法の0か1かの1桁分の情報量を表します。一方、バイト(Byte)はビットを組み合わせて、アルファベットなどの自然言語の文字を表示するためのセットで、通常8ビット=1バイトです。ハードディスクなどの容量を表示するときにも、このバイトが用いられ、それぞれ1024(2の10乗)倍ごとに、KByte(キロバイト)、MByte(メガバイト)、GByte(ギガバイト)、TByte(テラバイト)と単位が上がっていくのはご存じのことと思います。IPアドレスは32ビットの2進数
IPアドレスの本体は、32ビットの2進数で、この32ケの0/1の並びを読んで各コンピュータはインターネット上での通信相手を個別に識別します。人間の操作者が扱うときには、取り違えやすいので、これを8ビットづつの4ブロックに区切ったうえで、それぞれを10進法に変換し、コンピュータ上のインターフェースで受け渡しする仕組みです。
1ビットのパターンは0か1かの2通りですから、IPアドレスは、32ビットで、2の32乗、約42億9千5百万通りのユニークな識別番号を持てることになります。インターネットが考案された当初は、これだけあれば、接続機器がまさかそこまで増えることはないだろうと考えて仕様を決めたのだと思いますが、その後のインターネットの大発展によって、そのまさかが現実になってしまったのは知られているとおりです。ちょうど先日、このアドレスの残りがすべて払い出されて使いきったことが報じられ、いわゆる「IPアドレス枯渇問題」として話題になりました。現在の規格の「IPv4(IPバージョン4)」に対して、もっと長いアドレス長を持つ、新しい「IPv6」の利用も始まっていますが、機器を対応のものに入れ替えていかないといけないため、しばらくは並行運用になるといわれています。IPv6のアドレス長は、128ビットですので、IPv4からは「128−32=96」でさらに2の96乗倍、対数をとって変換すると、10の29乗倍のアドレスを持つことになります。全体の数でいうと「3.4×10^38」、漢数字では約340澗(かん)個で、340×1兆×1兆×1兆という途方もない膨大な数です。