いちばんシンプルなケースで、「分子が1」「分母が素数」の単位分数で、計算すると循環小数になる例を考えます(他の分数はこの部品の組み合わせか倍です)。はじめに、小数の側からさかのぼって、先に確認した循環小数を分数に変える計算式をあてはめてみましょう。

この計算式をながめながら有限小数と循環小数の分数変換を比べてみると、有限小数では、小数部分を括れるだけの10の累乗で割るのに対して、循環小数ではそこから1だけ取り去ったオール9の数(9999...)で循環節の数を割っていることが分かります。いいかえれば、分数が有限小数になるか循環小数になるかの分かれ目は、10でできた数で割るか9でできた数で割るかのほんの紙一重、わずかなさじ加減の差ということです。また、この9999...というのは、上の式から10の累乗と単位分数の分子1との差分です。

9999...で割るこの方法で循環小数が分数化できるということは、反対からみれば、元の分数の分母は、9999....の数を倍数に持つということでもあります。たとえば、分母が「13」の次のケースでみると、元の分数と、9999...で作成した分数は同じ値ですから、元の分母の「13」と、9999....で循環節がそのまま分子化した「76923」は、分子と分母の比の関係で、ともにきれいに9999....の約数であることになります(76923×13=999999)。

同じ理屈から、オール9を仲立ちにして、循環節と単位分数の分母を入れ替えることができます(これは上の7や13の場合でも成り立っています)。以下の例では、27×37が999です。

9999...のオール9の数は、分解すると9×1111....ですから、単位分数の分母から(9の部分を相殺して)1111...の数を作るために必要な桁数が循環節の長さに相当することになります。従って、37のように11111...をつくりやすい数(37×3=111)もあれば、多くの桁数を使わないと、1111...ができにくい数の分母では、循環節がそれだけ長くなります。17(16ケタ)や23(22ケタ)のような数がそうです。