【対数】計算尺の原理

前回述べた、足し算引き算で掛け算割り算ができるという対数の特徴を生かした手動の計算用具が「計算尺」(Slide rule)です。電子計算機が普及した現在ではすっかり姿を消して、今では入手するのも難しいくらいですが、対数の優れた特性がそのまま可視化されていて、理解のよい助けになりますので、その基本的な仕組みを見てみましょう。

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計算尺は、均等に目盛りの刻まれた二本の定規を組み合わせたもので、計算内容にあわせて一方をスライドさせ、数値とあわせた目盛りを読むことで値の足し引きができるようになっています。これが計算尺のいちばん土台にある計算の原理です。

計算尺の原理

上の例でみていきます。固定尺側で足される数の「3」に対して「滑(すべり)尺」のスタート地点の「0」をあわせ、足す数の「4」をたどって合致する値の「7」を見合わせます。これによって、「3」の長さに「4」の長さが足し合わされた値が分かることになります。

この図は説明のための仮のもので、実際の計算尺では、長さの制約から暗算でできる程度のものしか入れられないため、足し算の機能は通常は持っていません。ですが、土台にあって隠れているのはこの値を足し引きする機能です。

次に目盛りの値を、ナマの数値そのものから指数に変えてみます(この計算尺も説明のための仮のものです)。すると、指数法則を上記の和の機能にのせることで、指数の足し算から元の数の掛け算ができることになります。

計算尺の原理

今度はその目盛りの値を対数に変えてみます(これが実際の計算尺です)。目盛りに表示されているのは「真数(下段の値)」であるため、幅が歪んでいるようにみえますが、対数値(上段の青字)としては、きちんと均等に刻まれているため、上記の機能はそのまま保たれています。これによって、元の値の対数をとり、対数の和の公式を通じて、元の真数の掛け算ができるというわけです。単純な仕組みですが、素晴らしい発想ですね。

計算尺の原理


計算尺は17世紀前半に対数が考案されてから(10年ほどで)すぐに発明され、以来、電子計算機が開発される1970年代に至るまで、300年にわたって対数表とともに科学・技術計算の世界を支えてきました。形態も、定規型の長いものから、円盤状のものや、カッコいいポーチに入った携帯用のものなど、さまざまな製品が考案、販売され、技術者や科学者には必携のアイテムとなっていました。日本の義務教育の指導要領でも履修項目のひとつとして入っていたそうです。



posted by oto-suu 11/04/02 | TrackBack(0) | 対数 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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