矢継ぎ早につぎつぎ出てきて、のみ込みがちょっとしんどいかもしれませんが、指数の拡張はこれで一通り終わりですので、もう少し踏ん張りましょう。
先に、ゼロの指数とマイナスの指数を決めたときに使った遷移図で再び説明します。前回は指数を減らしながらドリルダウンしていくときに、ちょうど1づつ飛び飛びに減らし、その「間」は考えませんでした。今回はまさにその「間」の部分がどうなるかを考えます。例として、「2の1乗=2」と「2の0乗=1」の間を、拡大鏡で拡大して観察します。
指数を整数で1減らした時、掛ける回数が一回減るので、計算結果はもとの数の「2」分だけ減ります。ここで指数の加減算での増減は、真数(計算結果)の乗除に対応することを思い出してください。
今、仮に指数を1からスタートして1/2だけ減らすことにした時、この、指数の加減が真数の乗除に対応するという「秩序」をそのまま維持するためには、真数の側はどれだけ落としてやればいいでしょうか?それは、2回同じ数で割ったときに、ちょうど真数を2で割った分に相当する数であり、それは定義からいって2乗根(平方根)です(逆からみれば、2回同じ数をかけた時に全体で2を掛けたのと同じになる数です)。同様に、指数を1/3減らすのであれば、真数は3乗根だけ移動する、1/nの時はn乗根、となり、ここから分数の指数は、累乗根を使って上のように一般化することが整合的、となります。
これもまたいくつか実際の例でみてみましょう。こんな具合です。
ゼロの指数、マイナスの指数を決め、こうして分数にまで範囲を拡大したことには、巨大な効果があります。それは今まで自然数だけだった指数が有理数(分数として表せる数)の値を取ることができるようになる可能性を意味し、値の自由度は飛躍的に高まります。
また、分数は実際に割り算すると小数と同じですから、分数の指数がとれるということは小数の指数をとっていいことと同じです。