対数と指数の表記の関係は以下のようになっています。
くり返しになりますが、対数は、累乗の指数を単独で取り出したもので、これが対数の実際の数値(名札の中身)になります。、その右側の部分が対数の表記、「名札」の部分になりますが、まず「log」は、中身の数値が「対数=指数」であることの宣言です。その次に書かれた値は、指数表記の累乗される元の数であり、対数表記ではこれを「底」(base)と呼びます(対数表記ではこちらが脇役になり小さく書かれます)。そして最後に置かれる値には、累乗された結果その値になる数値を書きます。これを「真数」(anti-logarithm)といい、この3パートで1つの値を示す1セットの名札です。「底」は、「指数=対数」でその値を累乗するときの基準値であり、「真数」はその計算結果となるターゲットの対象値です。この表記法により、名札を見ただけで、その中身の数値が、どの数値をなにに向けて累乗したものかが、うまいこと分かるように工夫されています。
いくつか実際の例で要領をつかんでみましょう。
対数が指数を単独表記したものであり、名札にその条件が書き込まれている、それによって「底」という土台(base)から発射されて「真数」という天井に至るまでの、指数という梯子(はしご)が指定されている、という感覚がつかめたでしょうか?
羃(べき)乗・羃指数・logarithm
対数表記について、いくつか用語の点で捕捉します。はじめに、指数対数関連の記述では「羃」(べき)という漢字が使われることがあります。難しい漢字ですが、意味は「累乗」と同じです。「羃」は「羃(おお)う」という意味で、自分で自分にかぶさって掛け算をする、というイメージです。古い言葉ですが、こちらがもともとの正しい言い方なので、数学の記述の中では現在でもふつうに使われています。「巾」という簡単な漢字をあてたり、ひらがなで書かれていることもあります。出てきたら、ああ、累乗のことだな、と思いましょう。
次に、肝心の対数を意味する英語「logarithm」ですが、なんでこういう呼び方なのか、調べてもよく分かりませんでした。ただ、言葉の構成は、「logos(論理・比)」+「arithmos(数・計算)」で、「比のある数」「論理的な計算」くらいの、もやっとした意味のようです(ログログって丸太のことかと思ったらちがうんですね)。とはいえ、対数を一通り通過したあとから振り返ると、昔の人がなぜ対数にこの言葉をあてたのか、なんとなく気持ちが分かるような気もします。