【三角比】三角比とはなにか

今回から三角比です。サイン・コサイン・タンジェントです。日常の生活の中で意識的に用いることのない考え方だけに、数学が苦手な人がつまずきやすい代表的な箇所のひとつです。順を追ってひとつひとつ丁寧に見ていきましょう。

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先に幾何の初歩の復習で、三角形の合同条件を取り上げた中で、三角形という図形の特殊性について触れました。三角形は三本の直線だけからできています。これ以上数を減らしたら直線で囲まれた形態の図形をつくることはできませんから、すべての図形のもとになる、もっとも基本的な図形であるのと同時に、辺の比率と図形の形状に対応関係のある特殊な図形でもあります。

三角比(trigonometric ratio)は、この基本的な図形である三角形の特殊な性質を、より精密な仕方で、つきつめて研究し、深く味わおうという分野です(ですから「三角比」や「三角関数」はありますが、「四角比」とか「五角関数」といったものはありません)。サインコサインはその登山のためにあつらえられた専用の携行用具です。先に円の方程式をとりあげた際に、一見なんの関係もなさそうな円や楕円が、三角形と深い関係があることをみてきました。他の分野でもそうですが、ある基本的な事柄を深くつっこんで調べて本質を取り出すことで、一見それとはなんの関係もなさそうな、広範な領域まで豊かな応用がひろがります。三角形についても同じです。

まずは、定義からです。これはそう決めてあるという決め事ですので、そのまま受けとります。下図のように、よく頭文字を筆記体で書いた筆順をあてはめた覚え方が紹介されていますね。

三角比の定義

同じひとつの角に対する辺の関係は、あと3通り(c/a: cosecant<余割>、c/b: secant<正割>、b/a: cotangent<余接>)の計6通り考えられますが、残りは補助的に用いられるもので、中心的に使用されるのは上の3つです。

三角比ではこのように、角のひとつが直角である直角三角形を基本の定義に用います。角のひとつを直角に固定しておくと、残りのひとつの角の大きさで三角形の形状が一意に決まってしまうため、角度と辺の関係を扱うのに便利だからです。より具体的な言葉で言いかえれば、三角比とは、このように直角三角形における形状(内角)に対する三辺の長さの比のことです。



色づけられた値

サインコサインはまた、この定義からもわかるように、名前のついた、性格づけられたひとつのです。

それはふつうの整数や分数のようにひとつの数値であり、それらとまったく同じように、計算式の中で足したり引いたり割ったりできますが、それらのように無色無派閥ではなく、三角形の角度に対応する辺の比率であることを宣言された、色づけられた特殊な値です。

ふつうに数値だけを書いたのでは、無色なただの数字になってしまい、式の中で、それが三角形の辺の比率であることの性格が消えてしまうため、それをずっと保持させ、主張させたまま取り扱うために、中身は同じ数字であるけれども専用の記号で指定し飾ってある、そのように考えれよいと思います。いわば、「これはただの値ではなくて三角形の辺の比を示す値なんだよ」、という出自を計算式の中でいちいち明示し、持ち回るための「名札」あるいは「伝票」のようなものです。


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posted by oto-suu 10/11/06 | TrackBack(0) | 三角比 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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