【初等幾何】同位角と平行線公理

代数と同様、幾何の基礎についても、気になる箇所をかいつまんでみていきたいと思います。最初は、多くの幾何学的性質のもとになっている平行線の同位角についてです。下図のように、二本の直線にともに交わる直線が作る角のうち、同じ位置にあるものが同位角です。平行線ではこの同位角は同じ大きさになり、逆に、同位角の大きさが同じであれば、二本の直線は平行である、とされます。

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同位角
平行線の同位角が等しいことは、直観的に理解できます。たとえば、下記のように物差しに三角定規をあてたまま滑らせると、同一の三角定規が、同じ向きを保ったまま移動します。
あるいは、建物の床面とエスカレーターや階段でイメージしてもいいかもしれません。床面がちゃんと地面と平行に、水平に建っていれば、階段と床面が作る角度はどちらの階に行って測っても同じです。


「平行線公理」

この「平行線の同位角は等しい」という性質は、体系的な幾何学の出発点である「ユークリッドの原論」(Stoicheia )では5つの公準(公理:axiom)のうちのひとつにあげられています。「公準」とは、他のすべての証明の根拠となるが、自身は証明が不要な根本的な約束ごとのことです。

ちなみに、この5公準の各項目は以下のとおりです。

  • 点と点を直線で結ぶ事ができる
  • 線分を延長して直線にできる
  • 一点を中心にして任意の半径の円を描く事ができる
  • 全ての直角は等しい
  • 直線が 2 直線に交わり、同じ側の内角の和を2直角より小さくするならば、この2直線は限りなく延長されると、2直角より小さい角のある側において交わる

見てのように、このうち同位角に関する5番目のものだけが、ずいぶん回りくどい、慎重な表現になっています。そのため、この五項めは「平行線公理」と呼ばれて、これが本当に公理にあたるのか(証明が不要なのか)という論争がえんえんと続いてきたそうです。その結果、この項目を外しても、(われわれの日常的な直観には反しますが)ユークリッド幾何学とは別の、整合的な理論が作れるということが最終的に確認され、それがいわゆる「非ユークリッド幾何学」の出発点になったといわれます。非ユークリッド幾何学が生まれたのは19世紀で、「原論」がまとめられたのは、紀元前300年頃ですから、2000年にわたってモヤモヤしていたわけで、いろいろな意味で驚きです。

この同位角の問題は、そのくらい幾何学全体にとっても奥の深い、いわくつきのものですが、逆に考えれば、そのような高度な段階にいくまでの間は、日常レベルの直観に従って、証明不要の基本性質として扱ってかまわないということです。ここではそのことを確認したうえで先に進んでいくことにします。


<参考にさせていただいた資料>
 公理(Wikipedia)

posted by oto-suu 10/09/06 | TrackBack(0) | 初等幾何 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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