前回は
分数の掛け算についてみましたが、今回はそれを踏まえて、
分数の割り算について再検証していきます。分数の割り算は、
割る側の分数の分母と分子をひっくり返して掛け算をする、というのが指示されるやり方です。なぜそうなるのか、次の例題をもとに、もう一度考えてみましょう。
問題にするのは割る側の方の分数ですので、割られる側のもとの数はわかりやすいように整数としておきます。まず、「5=5×1」ですから、上の式は以下のように書き換えられます。
次に、「÷2/3」の部分についてですが、一般に、ある数で割るということは、その数を構成する
約数ごとに割るというのと同じです。たとえば、100を20で割るのは、「20=4×5」ですから、「100を4で割ってからさらに5で割る」のといっしょです。同様に考えれば、「2/3で割る」という部分は、以下のように分解して書くことができます。
ところで、上のようにいくつかの割り算、掛け算がまざった計算は、順番を入れ替えたり(
交換法則)、ある部分を先に行ってもかまいません(
結合法則)。たとえば、「100×2÷10÷5」という計算では、「×2」「÷10」「÷5」という計算のどの部分を先にやっても結果は変わりません(この場合、もちろん割る数、掛ける数は、割る、掛けるという計算行為とひもづけて入れ替える必要があります。「3÷2」と「2÷3」は当然ちがいます)。ここから、上の式は、真ん中の部分をかっこで括って先に計算することにしても同じになります。また、「÷2」については、定義上半分にすることですから「×1/2」と同じです。
ここで、かっこに追い込んだ「1÷1/3」について考えます。一般に割り算とは、割られる側のもとの数の中に、割る側の数が何組入るかを出す計算といえます。たとえば「9÷3」とは、9の中に3のセットは何組入るかという意味です。ここから考えると「1÷1/3」とは、まるまる1コのケーキの中に3等分した1/3のケーキは何個あるか、何人食べられるかと意味であり、答えは「1÷1/3=3」となります。よって上式は以下となり、あとは式を整理すれば、分数の割り算が
「逆数」(分母と分子をひっくり返してもとの数にかけると1になる数)の掛け算であることが示されます。
これを通しで書くと以下のようになります。また、掛け算の時と同じように、文字式で置き換えても同じになり、どんな分数でも成り立ちます。
どうでしょうか。上の式で「÷2/3」について、分母と分子を「÷1/3」「÷2」という形で分解した時に、
1という単位数を1/3で割った時の解「3」が分子側に現れ、同じく「÷2」とした時の分数1/2の分母の2が分母側に現れていることがみてとれると思います。
posted by oto-suu 10/08/23
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初等代数
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