子どもが算数を嫌いになってしまう理由の大きな一つに、
理由はいいからとにかく(公式を)覚えなさい、という言い方があります。分からない道具で問題を解決しても、もとの道具が分からないままなので、分かったような気がしないからです。中でも多くの生徒がさっそくつまづいて、へたをすると大人になってからもそのままずっと疑問がくすぶっているものに、
分数の掛け算割り算(特に割り算)があります。ここでは、分数の計算がなぜそうなるのか、もう一度原点にかえって、以下のような手順で考えてみました。
まず、
分数の掛け算についてみていきましょう。分数の掛け算は
「分母と分子をそれぞれ掛け合わせればよい」と教わります。なぜそうなるのでしょうか。
上の掛け算を例に考えていきます。はじめに、左側の掛けあわされる元の分数を、掛ける側の右側の分数に合わせて
通分しておきます。
次に、分数を掛ける前に、分数にふつうの整数を掛けたり割ったりするケースを考えます。
1/5を2倍するとということは、5等分したケーキが2コあるということですから、
2/5です。すなわち、分数に整数をかけるということは、
分数の分子にその整数をかけるということと同じです。また、同じように、
3/5コのケーキを3で割ると
1/5ですから、分数を整数で割るとは、分数の分子をその整数で割るのと同じです。
では、次に2/3をかける、2/3倍するとは、どういうことかを考えます。2/3とは、定義上、
3で割っておいてから(1/3にしてから)2を掛ける、というのと同じです。従って、分数を掛ける、という計算は、以下のように整数の計算に置き換えることができます。
ここまでの話をつなぎあわせると、元の計算式は以下のようになります。分子の×3と÷3は相殺されますから、これで分数の掛け算は、分母と分子をそれぞれ掛け合わせたものになることが示されました。
以上は文字式で置き換えても同じになります(すなわちどんな分数についても成り立ちます)。
分数の計算の説明では、視覚的に理解しやすいように、羊羹を切り分けるイメージを用いる等の工夫がされることが多いようですが、ここでは計算の中身そのものを分解して論理の流れを可視化することで、分数の値がどんなものでも成り立つことをストレートに実感できるように、上記のようなやり方をとってみました。同じ発想で次回は分数の割り算について検証します。
posted by oto-suu 10/08/22
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初等代数
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